札幌市の虐待死で猫の飼育放棄現場を児童相談所はなぜ見逃したのか?

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北海道札幌市で詩梨ちゃんという2歳の女の子が母親による育児放棄などの虐待によって衰弱死をするという悲しい事件が起きました。

この事件では母親の池田梨菜容疑者(21)と交際相手の藤原一弥容疑者(24)が詩梨ちゃんに暴行を加えけがをさせた疑いで逮捕されています。また、猫13匹の飼育放棄していたことも新たに発覚しています。

また、児童虐待があっていると、札幌市児童相談所に対して、住民や警察などから3度も通報がなされていましたが「虐待ではない」と判断したことや、その後の調査で48時間ルールを守っていなかったことなどが4件あったことが明らかとなっています。

また、新たに自宅から13匹の猫が飼育放棄された状態で保護をされていることが判明しています。

このことから、 詩梨ちゃんが母親らからの虐待だけではなく、劣悪な環境にいたことが明らかになっています。

なぜ、このような劣悪な環境に保護すべき子供がいることを児童相談所は見逃したのでしょうか?

いろいろと気になりましたので調べてみました。

詩梨ちゃん虐待死の概要は?

今月5日に札幌市中央区の池田詩梨(ことり)ちゃんにけがを負わせたとして、母親の飲食店従業員池田莉菜容疑者(21)と交際相手の飲食店経営藤原一弥容疑者(24)が逮捕されています。

詩梨ちゃんは病院で死亡が確認されており、死因は衰弱死だったとのことです。その時の体重は6kgと平均的な2歳児の体重が12kgですのでや半分ほどの体重だったそうです。

その後の捜査で、母親の池田容疑者たちが、推定で3週間ほど食事を日常的に与えない状況だったことなど育児放棄(ネグレクト)の実態が徐々に解明されてきています。

札幌虐待猫を保護した団体とは?

池田容疑者の自宅からは、自宅で飼っていた猫が13匹保護されています。

これらの猫たちは全てやせており、あばら骨が浮き出すほどの衰弱状態であり、体重も標準的な体重の半分ほどだったとのことです。また、体には大量の寄生虫やダニが付着しており、糞尿も放置されいたため、かなり劣悪な環境だったことがわかっています。

今回、池田容疑者の自宅から見つかった猫たちは野良猫などを保護する団体が保護をしています。

その会の代表者が

「(猫に)ご飯とか水を与えなかったり、汚いところに置くのは虐待。猫でもこんなにひどい状態なのに、人間はどうしていたんだろう。特に小さい子なんて」

と話されていたのが印象的でした。

札幌市には野良猫を保護している団体名は明らかにされていませんでしたが、保護をしている主な団体としては

NPO法人 NyapanCatRescue

認定NPO法人 HOKKAIDOしっぽの会

がありましたので、いずれかの団体で保護されて治療と飼育を受けているようで安心しました。

猫を13匹も飼育放棄した状態で自宅内は猫のフンと尿でかなり汚染されていた状態だったとのことですので、このような状態の中、2歳児の詩梨ちゃんが放置されていたのかと思うと胸が痛みます。

猫の糞尿は、管理されていないとかなりキツイにおいがします。

児童相談所の職員は一度は自宅に訪問しているはずですが、この猫たちの状態をみて何かを感じ取ることはできなかったのでしょうか?

その点も踏まえて、今回の事件の経過を見てみたいと思います。

虐待が発覚するまでの児相の対応

2017年11月~ 

24時間保育の保育園に池田容疑者は週1回程度、詩梨ちゃんを預けに来ていたようですが、2~3日たっても迎えに来ないことがあったとのことです。
この当時、体にアザなどはなかったようですが、同年代の園児よりもやせていたそうです。
また、冬場でもシャツとおむつだけの姿だったこともあったようで、この当時から不安視されていたようです。


2018年4月

池田容疑者は保育料の滞納をするようになっており、この頃から保育園には預けに来なくなったとのことです。

2018年6月

1歳6か月健診のとき、体重が標準より3割少なく、身長も1割ほど小さかったため、札幌市の東区役所が病院に行くよう勧めましたが、池田容疑者は受診させず、連絡が取れなくなったとのことです。

2018年9月

近隣住民から「育児放棄ではないか」との虐待通報。通報を受け、札幌市児童相談所の職員が池田容疑者と面会。 祖母が育児を手伝っているとの聞き取りもあり、「虐待なし」との判断を下しています。

2019年2月ごろ

池田容疑者は札幌市東区から同中央区のマンションに転居。その頃から藤原容疑者との交際が始まったようです。

4月5日

「昼夜問わず子供の泣き声が聞こえる」と池田容疑者宅の近隣住民から通告があり、児童相談所の職員が自宅を訪問するが不在のため面談できずに帰っています。

4月8日

再度、池田容疑者宅を訪問。


5月12日

近隣住民から「子どもの泣き声がする」と札幌南署に110番通報が入る

5月13日

札幌南署が池田容疑者に連絡したが面会を拒否されています。

5月13日午後11時

札幌南署によると、裁判所の許可を得て強制的に家庭に立ち入ることができる「臨検」を児童虐待防止法に基づき検討するよう札幌児童相談所に要請しています。
しかし、児童相談所が要請を断ったとのことです。

5月14日

札幌南署によると、再度、児童相談所に同行して自宅を訪問するように求めたが、断られたとのことです。

5月15日

札幌南署の署員だけで自宅に訪問し、詩梨ちゃんと面会しています。
面会をした署員に対し、池田容疑者が「発達に遅れがある」と説明。その説明により署員は低栄養状態ではないと判断しています。
詩梨ちゃんの足の裏にばんそうこうがあるのを見つけますが、これに対して池田容疑者が「ヘアーアイロンを踏みやけどをした」と説明しています。
この面談の結果、札幌児童相談所には虐待の可能性は低いと伝えられたとのことです。

6月2日

近所の人が詩梨ちゃんの泣き声を聞く。これ以降は静かだったとのこと。

6月5日

事件発覚

(報道されている事実を時系列に並べてみましたが報道内容によっては、内容が前後しているかもしれません。報道されている内容は北海道警察からの聞き取り内容です)

札幌児童相談所の不手際とは?

4月5日の48時間ルールを破る

4月5日に池田容疑者の近隣住民から虐待通告を受け、同日に訪問していますが、詩梨ちゃんの安否確認が取れず、3日後の8日に再度訪問に行っています。
児童虐待防止法では、通告から48時間以内に子どもの安否確認をすることが定められています。

これに対して、札幌市児童相談所の相談判定一課の東美伸課長は

「4月6、7日は土日だった。よほどの緊急時以外は休日対応する体制になっていない」と説明。「結果として48時間ルールを無視してしまった」

と説明しています。


ちなみに札幌市児童相談所「業務概要 平成30年度版(平成29年度実績)」 同業務概要によりますと

原則、通告から 48 時間以内に児童の安全を確認するため、平成 20 年度から市内2ヶ所、 平成 26 年度から更に2ヶ所で計4ヶ所の児童家庭支援センターに初期調査を委託し、夜間・ 休日の体制を維持している。

とうたってはいますが・・・・。

5月12日の臨検要請を断った

札幌南署からの臨検要請に対して、札幌市児童相談所の高橋誠所長は

「臨検を求められた認識はなかった。同行は求められたが、距離がある上、夜間で人繰りがつかず断った」

との見解を示しています。

5月14日の池田容疑者との面会要請を断る

臨検要請を断られた札幌南署は翌日の14日に池田容疑者に自宅での面会の約束を取り付けています。ことのことを札幌南署の署員が児童相談所に伝え、面会に同行するように要請しましたが児童相談所は断っています。

不適切な環境でないと判断した?

事件の経過を改めて確認してみますと札幌市児童相談所の職員、道警の警察官が連携は取れてないとはいえ、それぞれが自宅に一度は訪問をしているようです。

池田容疑者が猫の管理をいつから放棄をしていたのかはわかりません。

また、訪問をした際に玄関だけだったのか、中まで入って確認をしたのははっきりとしませんが、さすがに13匹も猫がいれば猫を飼っていたことはわかるでしょうし、においもしていたと思います。

まさか、児童相談所の職員が

私たちは子どものことをするところだから猫は関係ない

なんて思ったりはしていないと思いますが、報道で猫が保護された時の状況が明らかになるとなにかしら、子育てをするのに不適切な環境であることを感じ取ることができたのではなかったのだろうか?と悔やまれます。

もう少し強く児童相談所が危機感をもって接していれば、この件の結末は変わっていたのかもしれません。

行政が対応すべき内容を対応しないでいることを「不作為」と言いますが、今回の件では何度も児童相談所に相談が入っているにもかかわらず、面会などの事実確認を行っていないのは「行政の不作為」に当たるのではないかと思われてもしかたないのかもしれません。

ネットの反応は?

まとめ

今回の件では、何度も介入するチャンスがあったにもかかわらず結果、悲しい結果となっています。

ツイートにもありましたが、確かに13匹も猫を自宅で放置をしていたのなら、鳴き声や糞尿のにおいで苦情が上がっていてもおかしくありません。

もしかしたら、役所の別の部署にそのような相談が上がっていたのかもしれません。

行政の縦割りの弊害・・そういっても言い過ぎではないと思っています。

児童相談所が介入のタイミングを計っていたのならなおさら、ほかの部署での相談履歴がなかったなどを調査して、介入の理由を見つければよかったのではと思いました。
時に行政は動くための理由ではなく、動かないための理由を重ねているような気がするのは私だけでしょうか?

今回の件では札幌市児童相談所の高橋所長も言い分あるようですが、何度も繰り返される児童相談所の児童虐待に対する不手際が露呈したことは変わりありません。

以前、千葉県野田市の自宅浴室で死亡をしていた児童虐待死亡事件でも児童相談所の不手際がありました。

その背景には、やはり人手不足があることも否めないと思います。

事実、平成30年度の札幌市児童相談所概要では職員一人あたまの担当件数が150人を超えているのは事実のようです。

確かに今回の児童相談所の対応には疑問符がいくつも並びますが、児童相談所の不手際をたたくだけでは、同じようなことが繰り返されるだけです。

根本的に人で不足を解消し、虐待対応が余裕をもって対応ができる体制を整えるための予算が必要なるのでは?と思いました。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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