死役所「あしたのわたし」凛ちゃんと会ったイシ間が泣いた理由とは?1巻第3条・第4条


死役所のなかでも、指折りの泣けるエピソード。

「あしたのわたし」

 

1巻の第3条と第4条に収録されているお話です。

「あしたのわたし」という絵本を大切にしていた幼い凛ちゃんが母親の虐待によって死役所を訪れてくる話。

いつもは強面の他殺課のイシ間が凛ちゃんの手続きの途中で泣き出してしまいます。

イシ間が男泣きをした理由とは何だったのでしょうか?

その理由とこの話のあらすじをご紹介いたします。

 

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イシ間が男泣きをした理由とは?

 

他殺課を担当しているイシ間。

顔はちょっと強面ですが、心優しいところもあるようで・・

凛ちゃんの母親に対する思いに触れ、男泣きをしてしまいます。

 

子どもが死役所を訪ねてくると落ち込むため

「子どもは死ぬの禁止って無理なもんかね」

とつぶやくと

「お年寄りはどんどん死ねと」

とシ村がツッコミを入れて嫌な顔をする場面も。

 

とにかく、子どもが死役所にやってくることが嫌なイシ間ですが、そんなイシ間のところに凛ちゃんが「あしたのわたし」の絵本を抱えてやってきます。

 

手続きを終え、「これで天国へ行けるよ」と凛ちゃんに伝えるイシ間に対して

 

「じゃあ・・凜・・天国に行けないかも・・」と。

不思議に思いなぜかと尋ねると

 

「お母さんをいつも怒らせていたの。いい子じゃなかったの」

 

と答える凛ちゃん。

 

母親にいじめられていなかったのかと尋ねるイシ間に対して

 

「お母さん優しいんだよ」

「なでなでしてもらうの好きなの」

「お散歩の時に手をつないでくれるの」

「お母さんが買ってくれた本が大好きなの」

 

と、自分を殺した母親をかばって母親に対して純粋に大好きと、自分の思いをけなげに語る凛ちゃんの姿にイシ間は耐えることができず、男泣きをしてしまいます。

 

 

あしたのわたしは虐待死の話

 

イシ間の琴線に触れ、男泣きをさせ凛ちゃんですが、死役所に来ているということは

つまり、亡くなっているということですよね。

悲しいことですが、死役所に出てくるということは、そういうことになります。

 

今回の主人公は小野田凛ちゃんという5歳の幼稚園に通う女の子です。

死因は、母親による虐待死。

 

実の母親によって死に追い込まれるなんて、とても切ない話ですよね。

その凛ちゃんは「あしたのわたし」という絵本をいつも大切に抱えています。

 

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「あしたのわたし」絵本の内容とは?

 

「あしたのわたし」という絵本は、これから産まれてくる子どもについて書かれた絵本です。

「あしたのわたし」
  作:やまわき りえこ
 ~あしたうまれる あなたたちへ おくる~

 

 あしたのわたし

 ここはどこかな

 まわりは まっくら なにもみえない

 

 どこからか こえがきこえる

 あなたは あしたうまれるの

 あした うまれる わたし


 あしたの わたしは どんなわたし?

 あしたの わたしは みちにまよったとり  

 あしたの わたしは かぜにゆれるこのは 

 

 あしたの わたしは まえへすすむ はち

 あしたの わたしは ひとりぼっちのねこ

 あしたの わたしは 

 だれかの ながした なみだ 

 あしたの わたしは 

 ひかりかがやく ほし・・・・・

 

 あしたの わたしは

 だれもしらない やさしいうた

 だれかに とどくのを ねがっている・・

 

いつも凛ちゃんは「あしたのわたし」の絵本を大事に抱えています。

 

幼稚園に行くときも、おうちにいるときにも

初雪の降る寒空の中、ベランダに締め出されていた時も

そして、死役所に訪れてきたときも・・・

 

なぜ、凛ちゃんがその絵本を大切にしているかって?

 

それは、凛ちゃんの大好きな母親に買ってもらった絵本だったからなのです。

 

凛ちゃんが受けた虐待の内容とは?

 

凛ちゃんは、母親の小野田瞳から暴力などの身体的な虐待を受けていました。

 

凛ちゃんの自宅での場面。

凛ちゃんが大好きな「あしたのわたし」の絵本を声を出して読んでいます。

 

すると、夜のお仕事のため寝ていた母親の瞳が

「うるさい!」」

「本ぐらい声を出さずに読めるだろ!」

といって目覚まし時計を凛ちゃんに投げつけ、さらにガスッ!ガスッ!と叩きつけます。

 

それでも、腹の虫がおさまらない母親の瞳。

今度は凛ちゃんをベランダに連れ出し、内側から鍵を閉め外に締め出してしまいます。

 

外は初雪に舞う季節。

寒さに震えながらも凛ちゃんは、大好きなお母さんのことを思いながら「あしたのわたし」を読んでいました。

 

そのうち寒さもあって、凛ちゃんはベランダに座ったまま、お漏らしをしてしまいます。

 

その姿をみた母親の瞳。

「おもらししたの?悪い子だね。反省してなっ!」

といって、おしっこでぬれた服のまま、凛ちゃんをベランダの外に締め出し、外出をしてしまいます。

 

母親の瞳は仕事かと思いきや、彼氏といい感じになっており、彼氏が子どもを心配する言葉をかけますが、意に介さない瞳は、そのまま彼氏と一緒にお泊りデート。

 

一方、大雪となる予報が出ている寒空の下、ベランダでぬれた服のまま凛ちゃんが、寒さに耐えながら、うずくまっています。

そんななか思い出されるのは、大好きなお母さんのこと

お母さんと一緒に食べたごはん。

お母さんと一緒に行ったお風呂。

そして、お誕生日に買ってもらった絵本・・・

 

 

そして

 

「あしたの凜はおかあさんといっしょ」

「おかあさん・・大好き・・・」

とつぶやきながら意識が遠のく凛ちゃん・・・

 

そうなんです!

凛ちゃんは、ベランダで凍死をしてしまったのです。

 

幼稚園の先生は虐待に気づかなかったのか?

 

幼稚園の先生は凛ちゃんが虐待を受けていることに気が付いていました。

 

ある日、凛ちゃんが通っている「ひので幼稚園」の先生が凛ちゃんの首に傷があることに気が付きます。

 

「凛ちゃん、なんで首にけがをしちゃったのかな?」

 

と尋ねても、凛ちゃんは

「わかんない」

と答え、母親について尋ねられても

「おかあさん、やさしいよ」

って答える凛ちゃん。

 

しかし、髪の毛にフケがついていたり、同じ服ばかりを着ていたり、母親が二日酔いで入園式にも来なかったりと、母親からの虐待があるのではないかと疑い、一度、家庭訪問をしてみようと幼稚園の先生たちは話していました。

 

この時点で幼稚園の先生は母親から虐待を受けていることを疑っていたようでした。

 

その日の夕方、幼稚園の先生が二人で凛ちゃんの母親に会うために自宅を訪問します。

 

母親は昼寝中。そして、凛ちゃんは母親から締め出されベランダにいました。

 

「ピンポ~ン」

呼び鈴がなり、先生が玄関の外から声をかけますが、応答がありません。

凛ちゃんはお母さんが先生に怒られると思い、けなげにも「出ないで」と心の中で願います。

 

まったく、応答がないため先生たちは引き上げていきます。

 

それでも、やっぱり凛ちゃんの首のアザが気になる先生は次の朝一番で凛ちゃんの自宅に訪問をすることとします。

 

次の朝、凛ちゃんの自宅に行き、玄関の前で声をかけますが・・・・

 

幼稚園の先生の思いは強く、凛ちゃんの葬儀の時にあまりの怒りのため、母親の頬をひっぱたくという行為に出てしまいました。

それだけ、凛ちゃんのことを強く思っていたのでしょうね。

 

ちなみに母親は、その後、警察に「凛ちゃんへの殺害容疑」で逮捕されます。

 

決め手は、凛ちゃんの自宅の向かいの市営住宅の住人の証言。

逮捕される寸前まで、母親の瞳容疑者は、凛ちゃんが亡くなって邪魔者がいなくなったと彼氏に結婚を迫るなど、凛ちゃんの思いを踏みにじるとんでもないクズ女でした。

 

 

「あしたのわたし」を読んでのまとめ

 

あしたのわたしの話は児童虐待の話。

虐待を受けて亡くなり、死役所を訪ねてくるお子さんが多いようで、シ村も

「最近、多いですよね。虐待死」

と語っています。

 

子どもって親しか頼るものがないですよね。

特に子どもの年齢が幼ければ幼いほど、親の加護がないと生きていけないといっても過言ではないと思います。

 

今回の凜ちゃんのケースは、全くの親のエゴで凛ちゃんが亡くなったわけですが、そんな自分勝手な母親に対しても、自分のことを大切に思ってくれている母親であること、いつもやさしい母親であること。

そして、母親が暴力をふるうのは自分が悪かったんだと母親の行為をかばい、自分のせいだと思っていること。

 

イシ間は凛ちゃんが母親の愛情が凛ちゃんに伝わっているから、凛ちゃんが母親をかばっているのだと主張しますが、シ村は冷静に

「洗脳でしょ?」

と言い放ちます。

 

身体的な虐待の場合、心理的な虐待も併発していることが多く

暴力を振るわれるのは自分のせいだ!

暴力を振るわれるのは自分が失敗をしたからだと自責の念に押されてしまいます。

 

普通では考えられないような思考パターン。

シ村の言うとおり、身体的虐待の背景には「洗脳」という心的な要素が隠れているのかもしれません。

 

それにしても凛ちゃんが母親を信じて、大雪の降る中、ひとりで凍えながらお母さんとの思い出を思い返すシーンで思わず泣いてしまいました。

 

こんな話は、漫画の中だけにしてほしいと思いました。

 

「あしたのわたし」

凛ちゃんのけなげな思いが余計に母親への怒り、凛ちゃんへの哀れみを増してしまう作品となっていました。

 

 

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