「死役所」凛ちゃんへの児童虐待を止めることはできなかったのか?1巻第3条・第4条「あしたのわたし」

「死役所」凛ちゃんへの児童虐待を止めることはできなかったのか?1巻第3条・第4条「あしたのわたし」

死役所のなかでも、指折りの泣ける児童虐待のエピソード。

「あしたのわたし」

1巻の第3条と第4条に収録されているお話です。

「あしたのわたし」という絵本を大切にしていた幼い凛ちゃんが母親の虐待によって死役所を訪れてくる話。

つまり、幼い凛ちゃんが母親に殺されてしまう・・・

幼い子どもが虐待で亡くなるのはとても悲しい話です。

凛ちゃんへの虐待を止めて、凛ちゃんを救うことはできなかったのでしょうか?

物語を振り返って虐待を止めることができなかったのか?考えてみたいと思います。

 

 

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凛ちゃんが受けていた虐待とは?

 

凛ちゃんは、母親の小野田瞳から暴力や締め出しなどの身体的な虐待を受けていました。

 

凛ちゃんの自宅での場面。

凛ちゃんが大好きな「あしたのわたし」という絵本を声を出して読んでいます。

 

すると、夜のお仕事のため寝ていた母親の瞳が

「うるさい!」」

「本ぐらい声を出さずに読めるだろ!」

といって目覚まし時計を凛ちゃんに投げつけ、さらにガスッ!ガスッ!と叩きつけます。

 

それでも、腹の虫がおさまらない母親の瞳。

今度は凛ちゃんをベランダに連れ出し、内側から鍵を閉め外に締め出してしまいます。

 

外は初雪が舞う季節。

寒さに震えながらも凛ちゃんは、大好きなお母さんのことを思いながら「あしたのわたし」を読んでいました。

 

そのうち寒さもあって、凛ちゃんはベランダに座ったまま、お漏らしをしてしまいます。

 

その姿をみた母親の瞳。

「おもらししたの?悪い子だね。反省してなっ!」

といって、おしっこでぬれた服のまま、凛ちゃんをベランダの外に締め出し、外出をしてしまいます。

 

母親の瞳は仕事かと思いきや、彼氏といい感じになっており、彼氏が子どもを心配する言葉をかけますが、意に介さない瞳は、そのまま彼氏と一緒にお泊りデート。

 

一方、大雪となる予報が出ている寒空の下、ベランダでぬれた服のまま凛ちゃんが、寒さに耐えながら、うずくまっています。

 

そんな仕打ちを受けながらも凛ちゃんは大好きなお母さんのことを思い出します。

 

お母さんと一緒に食べたごはん。

 

お母さんと一緒に行ったお風呂。

 

そして、お誕生日に買ってもらった絵本・・・

 

そして

 

「あしたの凜はおかあさんといっしょ」

「おかあさん・・大好き・・・」

 

とつぶやきながら意識が遠のく、凛ちゃん・・・

 

そうなんです!

凛ちゃんは、ベランダで凍死をしてしまったのです。

 

 

幼稚園の先生は凛ちゃんの虐待に気づいていたのか?

 

凛ちゃんの幼稚園の先生はいったい何をしていたのでしょうか?

 

 

実は、幼稚園の先生は凛ちゃんが虐待を受けていることに気が付いていました。

 

ある日、凛ちゃんが通っている「ひので幼稚園」の先生が凛ちゃんの首に傷があることに気が付きます。

 

「凛ちゃん、なんで首にけがをしちゃったのかな?」

 

と尋ねても、凛ちゃんは

「わかんない」

と答え、母親について尋ねられても

「おかあさん、やさしいよ」

って答える凛ちゃん。

 

しかし、髪の毛にフケがついていたり、同じ服ばかりを着ていたり、母親が二日酔いで入園式にも来なかったりと、母親からの虐待があるのではないかと疑い、一度、家庭訪問をしてみようと幼稚園の先生たちは話していました。

 

この時点で幼稚園の先生は母親から虐待を受けていることを疑っていたようでした。

 

その日の夕方、幼稚園の先生が二人で凛ちゃんの母親に会うために自宅を訪問します。

 

母親は昼寝中。そして、凛ちゃんは母親から締め出されベランダにいました。

 

「ピンポ~ン」

呼び鈴がなり、先生が玄関の外から声をかけますが、応答がありません。

凛ちゃんはお母さんが先生に怒られると思い、けなげにも母親に「出ないで!」と心の中で願います。

 

まったく、応答がないため先生たちは引き上げていきます。

 

それでも、やっぱり凛ちゃんの首のアザが気になる先生は次の朝一番で凛ちゃんの自宅に訪問をすることとします。

 

次の朝、凛ちゃんの自宅に行き、玄関の前で声をかけますが・・・・

そのころ、すでに凛ちゃんはベランダで冷たくなっていました・・

 

凛ちゃんの葬儀。

幼稚園の先生はあまりの怒りのため、母親の頬をひっぱたくという行為に出てしまいました。

それだけ、凛ちゃんのことを強く思っていたのでしょうね。

 

ちなみに母親は、その後、警察に「凛ちゃんへの殺害容疑」で逮捕されます。

 

決め手は、凛ちゃんの自宅の向かいの市営住宅の住人の証言。

逮捕される寸前まで、母親の瞳容疑者は、凛ちゃんが亡くなって邪魔者がいなくなったと彼氏に結婚を迫るなど、凛ちゃんの思いを踏みにじるとんでもないクズ女でした。

 

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凛ちゃんへの虐待は防げなかったのか?

 

凍死する寸前まで「大好きなお母さん・・」と口にするほど、本当に凛ちゃんはお母さんのことが大好きでたまらなかったのですね。


そんな、大好きでいてくれている凛ちゃんに対して暴力をふるい、ベランダに締め出し、最後には凍死までさせてしまうなんて・・・


小野田瞳ってなんてひどい母親のでしょうか?


怒りの気持ちがフツフツとわいてきて止まりません!

幼稚園の先生たちの怒りの気持ちもわかりますが、虐待を防ぐことはできなかったのでしょうか?

幼稚園の先生の対応はこれでよかったのでしょうか?

 

児童相談所への通告をすればよかった?

 

厚生労働省のホームページに「児童虐待に気づいたときの対応」というページがあります。

そこには、身体的な虐待や育児放棄(ネグレクト)などの虐待に気が付いた時には、ためらうことなく「児童相談所」や役所に通告をするように!と書いてあります。

  • 体に説明のつかない傷があるなど、暴力行為を受けていることが疑われる。
  • わいせつな行為がなされていることが疑われる。
  • 日常的に食事が十分にとれていない、身なりが不衛生など、放置されていることが疑われる。
  • 極端な拒否、脅しなどを日常的に受けていることが疑われる。

(引用:厚生労働省ホームページ)

 

このようなことが虐待のサインとしてあげられています。

 

凛ちゃんの場合は

  • 首に不自然な傷がある。
  • いつも同じ服を着ている
  • フケが多く、清潔な状態でない

などが確認されていました。

そのため、幼稚園の先生たちは凛ちゃんの虐待を疑ったのでした。

そのため、虐待の事実を自分たちで確かめようとしたのでした。

 

実は児童虐待への対応を定めた「児童虐待防止法」には、虐待を見たり、知ったりしたした人は児童相談所に通告する義務があるのです。

つまり、児童虐待があることを知っている国民全員に児童相談所に通告する義務があるのです。

特に幼稚園や小学校の先生など児童教育に携わる人は、積極的に虐待を発見して児童相談所へ通告をする必要があったのです。

凛ちゃんへの虐待を疑った時点で幼稚園の先生が児童相談所へ通告、または相談をしていれば、児童相談所の職員が自宅を訪ね、必要であれば保護者の同意なく子どもを保護することができますので、もしかしたら凛ちゃんを救うことができたのかもしれません。

 

幼稚園の先生があきらめなければよかった?

 

昼間に凛ちゃんの自宅に訪ねた幼稚園の先生があきらめずに「ガン!ガン!ガン!」と強く扉をたたいて、凛ちゃんの母親が出てくるまで粘っていれば、凛ちゃんを救うことができたかもしれません。

 

しかし、虐待の疑いがあるものの確証がない時点では、そこまで強い行動に出ることには迷ってしまう気持ちもわかります。

しかし、もう少し粘っていれば、また、外からベランダの様子をみていれば・・・

悔やまれて仕方ありません・・・。

 

向かいの住人が通報すればよかった?

 

凛ちゃんの葬儀の時に警察官が来て、凛ちゃんの母親である小野田瞳を殺人容疑で逮捕してしまいます。

警察の話によりますと、母親の凜ちゃん殺害容疑の決め手になったのが、凛ちゃんのアパートの向かいにある市営住宅の住人が母親が凛ちゃんを締め出すのを見ていたとのことでした。

季節は初雪が舞うとても寒い夜のことです。

警察に証言をした市営住宅の住人は、幼い子どもがベランダに締め出されている姿をみていたのなら、その後どうなったのか気にならなかったのでしょうか?

締め出されている時点で警察などに通報しておけば、凛ちゃんを救い出すことができたのではないのでしょうか?

母親の罪を明らかにしてくれたのはありがたいと思いましたが、できることなら凛ちゃんが凍死をする前に通報をしてほしかったです!

 

虐待死の凛ちゃんが死役所に

 

死役所では虐待を受けて亡くなり、死役所を訪ねてくるお子さんが多いようで、シ村も

「最近、多いですよね。虐待死」

と語っていました。

特に他殺課のイシ間は子どもが死役所を訪ねてくると落ち込むため

「子どもは死ぬの禁止って無理なもんかね」

 

と、子どもが死役所にやってくることが嫌なイシ間ですが、そんなイシ間のところに凛ちゃんが「あしたのわたし」の絵本を抱えてやってきます。

 

手続きを終え、「これで天国へ行けるよ」と凛ちゃんに伝えるイシ間に対して

 

「じゃあ・・凜・・天国に行けないかも・・」と。

不思議に思いなぜかと尋ねると

 

「お母さんをいつも怒らせていたの。いい子じゃなかったの」

 

と答える凛ちゃん。

 

母親にいじめられていなかったのかと尋ねるイシ間に対して

 

「お母さん優しいんだよ」

「なでなでしてもらうの好きなの」

「お散歩の時に手をつないでくれるの」

「お母さんが買ってくれた本が大好きなの」

 

と、自分を殺した母親をかばって母親に対して純粋に大好きと、自分の思いをけなげに語る凛ちゃんの姿にイシ間は耐えることができず、男泣きをしてしまいます。

 

たしかに子どもって親しか頼るものがないですよね。

特に子どもの年齢が幼ければ幼いほど、親の加護がないと生きていけないといっても過言ではないと思います。

 

今回の凜ちゃんのケースは、全くの親のエゴで凛ちゃんが亡くなったわけですが、そんな自分勝手な母親に対しても、自分のことを大切に思ってくれている母親であること、いつもやさしい母親であること。

そして、母親が暴力をふるうのは自分が悪かったんだと母親の行為をかばい、自分のせいだと思っていること。

 

イシ間は凛ちゃんが母親の愛情が凛ちゃんに伝わっているから、凛ちゃんが母親をかばっているのだと主張しますが、シ村は冷静に

「洗脳でしょ?」

と言い放ちます。

 

身体的な虐待の場合、心理的な虐待も併発していることが多く

暴力を振るわれるのは自分のせいだ!

暴力を振るわれるのは自分が失敗をしたからだと自責の念に押されてしまいます。

 

普通では考えられないような思考パターン。

シ村の言うとおり、身体的虐待の背景には「洗脳」という心的な要素が隠れているのかもしれません。

 

それにしても凛ちゃんが母親を信じて、大雪の降る中、ひとりで凍えながらお母さんとの思い出を思い返すシーンで思わず泣いてしまいました。

 

こんな話は、漫画の中だけにしてほしいと思いました。

 

「あしたのわたし」

凛ちゃんのけなげな思いが余計に母親への怒り、凛ちゃんへの哀れみを増してしまう作品なのです。

 

 

 

コメント

  1. […] それでも、母親を慕う凛ちゃんの気持ちに耐えれず、凛ちゃんの成仏の手続きをしたイシ間は男泣きをしてしまいますが・・・ […]

  2. […] その女の子は実は母親からの虐待死だったですが、けなげに大好きな母親について無邪気に語る女の子を目の前にイシ間は男泣きをしてしまいます。 […]

  3. […] 同じ1巻に収録されている凛ちゃんの話といい、子どもが死ぬ話はせつないものです。 […]

  4. […] 「あしたのわたし」という母親から買ってもらった絵本を大切にしている5歳の幼稚園児、小野田凛ちゃんです。 […]

  5. […] 子どもが死役所に登場するのって、子どもがいじめに耐えきれず自殺した話や幼い女の子が母親からの虐待死をなどつらい話が多いですよね。 […]

  6. […] とくに子どもが死ぬまでの間の回想シーンだと、なぜ死んでしまったのか?なぜ誰も助けないのか?ともどかしい気持ちになります。 […]

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